YCombinatorは生きた教科書 | HardReggaeCafe@Ameblo.jp

YCombinatorは生きた教科書

休み中に自分への課題図書の一つYCombinatorを読みました。

Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール/日経BP社

¥1,890
Amazon.co.jp


スタートアップベンチャーブームになって2年くらいとなりますが
火付け役とも言えるVC(ベンチャーキャピタル)代表格のこの会社。

今身の回りにある、DropboxとかAirbnbもここの卒業生です。
あとは開発者にはお馴染みのHerokuとかMongoDBのホスティングサービス
であるMongoHQもそうですね。

日本から初めて出資を受けることになったAnyPerkという会社は
福利厚生を取り扱うサービスで、そのプロセスは本書には出ていないけど
言葉の壁がある中である意味伝説になっています。

基本的に情報は公開しないというポリシーであるため実情はそんなに
伝えられて来なかったのですが、サンノゼ州立大の教授である著者が
特別に許可を得て取材ができたことにより書籍化されました。
おまけに日経BPの高畠さんが熱烈なグレアムファンで翻訳させて欲しいと
言ったことから日本でも読むことができるようになったということ。
TechCrunchの翻訳者である滑川氏が世界観を完全に捉えて日本語にしてくれた
お陰でとても学びの多い本になりました。

読んでいて面白かったのはまさにサービスが生み出されて、どのように
育てられるのかというところの描写です。自分には馴染みのないサービスですが
ラップジーニアスというラップの歌詞を解説するというものを題材に
ありがちな落とし穴やなぜ最小単位でプロダクトを生み出さなくては
いけないかが説明されています。初期のスタートアップで気にする必要の
ないところに精力を注いでしまったりすることの問題を説明していました。
例えばドメイン名にこだわり過ぎる問題とかも同様です。
既に買い占めている人から高額で買い取る必要はないなど、実践的なアドバイスが
豊富に網羅されていて参考になります。

ここでは最初の3ヶ月が非常に大事なので捨てる技術も必要になってきます。
努力はしているのだけど「何もしていなかった」のと同じではYCに
選抜されたという特権を無にしてしまいます。
それって現実のサービス開発や仕事でも同じで、人はついつい仕事をやった気に
なってしまいがちです。空回りとも言いますけど、徒労感はやがて鬱になって
しまうでしょう。判断するのに時間かけてもいけないですが、生産的でない
ことは極力回避すべきですね。

そういったことが含まれているこの本は400頁もある長編だけど
意外にあっという間に読めるのでスタートアップに関わる人はもちろん
企画やクリエイティブな仕事をする人にも確実に効く本と言えそうです。