難しくない「ハーバード流交渉術」 | HardReggaeCafe@Ameblo.jp

難しくない「ハーバード流交渉術」

ライフネットの副社長岩瀬大輔さんの新刊「ハーバードで学び、私が実践したビジネスプラン」
のレビューをちらほら見かけるのですが、実は私もちょこっとだけ読みました。
とにかく数値のシミュレーションが細かくて、ビジネスプランがよくできているなと
思いました。自分も生保の仕事はトータルで4年はやってたのでネット販売に
持っていくことの難しさがわかるだけに、革新的な仕事をやったということは
理解出来ます。

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元々バックグランドもよく知らなかったのですが、東大卒で司法試験に合格
ハーバードでは上位5%の成績だったという超エリートという岩瀬さん。
投資家がプランじゃなくて人で判断すると言われているだけに、過去にない
画期的なアイデア以前に人物が評価されてネット生保のプランにGOが出た気が
しちゃいました。それって書籍でどんなにいいこと書いても「結局人でしょ?」
というオチになってしまう。

出している書籍に「ハーバード流」と付ける意味もなんかわかってしまったのですが
とはいえブックオフで見つけた「ハーバード流交渉術」を読んで見ることにしました。

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交渉にはソフト型とハード型があり、端的に言えば太陽政策と強硬路線的な違いなのですが
どちらかに寄りすぎても求めるゴールに辿りつけない。そこで提唱するのが原則立脚型です。
「人と問題を切り離し」「条件や立場でなく利益に注目する」というもの。
人にはソフトにあたり、問題にはハードに対処するという考えはなるほどと
唸りました。わかっているけど、言語化されて納得。そしてこれも当たり前なんだけど
「双方の利益に配慮した複数の選択肢を用意」して「客観的基準に基づく解決方法」
に導くという、これがハーバード流なのだそうです。

いくつかの事例とそれを可能にするための準備について色々書かれています。
選択肢ごとにメリット・デメリットを羅列でいいから書出せというのは至極当然
なんだけど、相手のデメリットがこちらのメリットなんてことになりがち。
書き出すのは冗長だよねと思ったら、事例にはベタに書いてあったので
それも解決案出す上では必要なんだなと思いました。

そして何を拠り所に自分が折れないでいられるかと言う部分ではやはり
「客観的基準」というところも非常に納得してしまいました。
例えばインドとアメリカで深海採掘のための租鉱料交渉でまだ利益の上がっていない
場所にもかかわらず1箇所6000万ドルを要求するインドとそんなお金を出しようが
ないアメリカで平行線の議論になったことがあるらしいです。このときMITが開発した
深海底の採掘経済モデルという客観的指標があることに気がついた人がいて、
それで算出したところ6000万ドルは法外であることにインド側が気がついて
見直すと言う話になったとか。でも、実際は未採掘の場所でもある程度は利益を
生み出すことができるということも同時にわかったのでアメリカ側も譲歩する
形になったという話はすごくわかりやすくて参考になりました。
結論、ここにも「客観的基準」を持ち出すことがお互いの感情を挟まない
合理的な交渉には欠かせないということですね。

何となく感じていたけど、この本は最終的には読者が感覚的に掴んでいる
交渉の筋道を体系化・言語化したものだと書かれていたのであらためて納得でした。

個人的には「武器としての交渉思考」とセットで読むと相互理解が深まって
実用的な知見が得られるなとも感じてます。

武器としての交渉思考 (星海社新書)/講談社

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是非仕事で活用したいところです。